いつも一緒に仕事をして下さった建設会社が、昨日付けで倒産したらしい事を、昨夜遅くにクライアントで友人でもある方からメールで連絡を頂いた。夜中に車を飛ばし、その会社に行ってみるとA4の紙に「本日を持ちまして・・・」とワープロの文字で打たれた紙が張ってあった。今日はちょっと、その対応や事実確認をしなければならない。なんてことだ・・・・・。
今までにも知り合いの設計事務所が、事務所を閉めたりするのを見てきたが、今回のはチョッとショックだ。奥さんも子供も知っているし、何より付き合いが長かったから・・・・・。
小泉さんが望んだ改革とは、こう言うことを言っているのかと、改めて骨身に染みる11月の初日である。
何年か・・・、あるいは何十年かの間住み続けた街、やり続けた仕事を諸般の事情で閉めなければいけないと言うのは、一体どんな気持ちなのだろうか?ある時は地元の名士の一員として活躍し、ある時は飛ぶ鳥を落とす勢いの辣腕社長だったりした。でも、家に帰れば一人の夫とし、一人の父親としての顔が有った筈。今日の夜をどんな気持ちで、あるいは何処で、妻と子供を庇っているのだろう・・・。
建設業界の衰退は日本経済の衰退を2乗した速度で、急激に転がり落ちていると言えよう。特に昨今の住宅建設に限って言えば、地域の中小あるいは大工さん達を初めとする「職人」たちの衰退は目を覆う物がある。経済的思想は腕の良い「職人」を食えない状況に追い込み、ただ賃金が安いだけの素人を使うだけになってきた。その結果、住宅の質は著しく低下し、まさに一時的な消耗品に成り下がってしまった。そして、その現状に気付かない建設関係者も悪い。
冷静に見れば住宅建設の市場だけに於いては「大手住宅メーカーVS地域の建設会社・大工」の図式は明確なのに、それに対向する営業力も知識も無い。ならばパートーナーを組んで事に当たれば良さそうなのに、それをさせない自惚れと捨てきれないプライドが邪魔をする。
その事に、逸早く気付いて欲しい。優秀で良識ある設計者も少ないけれど、きっと居る筈。時には要らぬプライドを捨て去る覚悟が、結果的に自分を、家族を、従業員を、そして建築主を助ける事になると言う事を、気付いて欲しいと思う・・・・・。