ベルンハルト・シュリンク著/松永美穂訳 「朗読者」読了。
戦後ドイツ、病弱な15歳の少年ミヒャエルは、母親ほど年の離れた女性ハンナと恋に落ちる。
人知れず逢瀬を重ね、ハンナに溺れていくミヒャエル。ハンナはミヒャエルに本を読んで欲しいと頼み、いつしかそれが二人の楽しみの一つになっていく。ところがある朝忽然と姿を消すハンナ。捨てられたと思い消沈するミヒャエルが、ハンナと再開したのは、それから数年後の法廷。ナチスの過去を裁く法廷の、被告席に立つハンナだった。彼女はアウシュビッツの看守として重大な犯罪を犯していた?彼女の隠された秘密とは?戦争の贖罪とは、を考えさせられる一冊。
う・・・・ん、難しかった、それに哀しかった。
号泣するような哀しさではなく、「はかなさ」みたいな哀しさかも。
読み始めは年上の女性との恋とSEXに溺れるミヒャエルの心情にシンクロしたけど、後半の裁判が始まった辺りから、完全にハンナの心にシンクロした。
自分の愛した人や親、その年代の人たちが犯した戦争と言う名の狂気、そして罪。それをどう許し、どう贖罪していくのかについて、あらためて考えさせられるかもしれない一冊。
最後の数ページの下り、ミヒャエルの弱さが嫌だったし、ハンナの強さに胸を打たれた。そんな結末は・・・・・・以下自粛。