改正建築士法が公布され、いよいよ・・・

一連の耐震偽装事件を受け、昨年末に「建築士法等の一部を改正する法律案」が可決・成立し、12月30日に公布された。これにより改正法は、2年以内に施行されることになる。
その中身全部を書くことは出来ないし、それほど熟知しているわけでもない。と言うか、私を含めた多くの方は、全然知らないと思う。そこで来月の2日には、全国84会場同時に、これらの改正の要点を解説するセミナーなども開かれるらしい。
改正される内容の一つに、建築士を「構造設計1級建築士」とか「設備設計1級建築士」などに細分化し、より専門職としての責任と知識向上を図ると言う内容がある。また違反建築や名義貸しを行ったものに対する、罰則規定も強化されると言う物もあり、まさに「耐震偽装問題に対する対処的な改正案」と言う匂いがする。勿論、それ自体が悪いことではないし、建物の質の向上、あるいは質の確保に繋がるのは喜ばしいことである。が!本当に、エンドユーザーにとって、プラスになっていることばかりかと言うと、そうでも無いような気がする。
例えば、設計者の設計報酬算定根拠の見直しと言う改正では、現行の告示1206号による、「請負金額別で決めている業務量の算定」を見直し、「建物の床面積に応じて設定する」と言う内容に変更される。
これを簡単に言うと、今までの計算方法は、建物の工事費とその建物の難易度を考慮して設計監理報酬が計算できた。だから狭小住宅のような場合でも、一定の設計報酬を求めることが出来た。つまり小さい建物だからと言って、設計が簡単なわけではなく、逆に豊かな想像力と高い設計力が求められる、難しい設計になることが多いからだ。
ところが改正案では、設計報酬を求める為の業務量を、床面積に比例させるとある。つまり狭小住宅のような小さな建物は、時間も手間も掛からないだろうから、安い設計報酬で良いでしょ?と、取れる内容だ。
私の解釈が間違っていないとすれば、本当にそれで良いのだろうか?
その考え方に従って、安い設計料で真摯に狭小住宅と戦える建築家は、果たしてどれぐらい居るのだろう?また、面積だけは広いオフィスビルや、画一された間取りのマンションなどの設計は、反対に高額な設計料になるのだろうか?
もしそうだとすると、住宅設計、それも狭小住宅を真摯に設計する設計者はもとより、小さな家を求めようとする人たちにとっても、不利益になりはしないだろうか。
たった数行程度で語れる内容でもないし、その中身全てを把握しないで、断片的に物を言う訳にはいかないが、禁酒法時代にカポネが生まれたように、改正案の公布が「建築界のカポネ」を生み出さないことを祈るばかり。
資料を送って下さった日建学院・藤沢校の“カミカミさん”(←私が勝手に付けたアダ名/笑)には感謝です。

コメント

  1. しょーじ より:

    こんちは。
    可決成立したのですね。全然知らなかった。
    うーん・・・なんだかなぁ~ですね。
    だったら、医療ミスとかも、もっと厳しく追及しろよ。医者の資格も見直せよ。問題起こしている弁護士はどうなのよ?と並列できそうな問題は幾らでもあるんですけどね。
    建築士の場合は、医師会みたいに政治的に強いバックボーンが何も無いから、いいようにやられたなぁ~という感じがします。
    要求される責任の重さと報酬が噛合っていない現状の方が問題のような気もします。現行告示を徹底させてくれたら良かったのに・・

  2. 探偵長 より:

    確かに責任の重さと報酬のバランスは、特に小さな建物を考えた場合、釣り合っていませんよね。
    改正案には、他にも団体に加入させる事も義務付けられるみたいですよ。
    つまり個人を淘汰し、小さな事務所も淘汰し、その先には住宅は設計事務所にはやらせない的な思想が、見え隠れします。
    定期的講習の受講も良いですが、悪党はどんな体制の中でも生まれてくるでしょう。
    いえ、悪しき環境の中だからこそ、より悪しき奴らが徘徊するような気がするのですが、どうなんでしょうね・・・。
    なんだかなぁ~~~~~