車を運転していた。踏み切りで止まった私の横を、一組の親子連れが歩いて通り過ぎる。
母親と思われる女性は、年の頃なら20代の後半。髪をキレイな金色に染め、薄いグレーのスーツにコートを羽織っていた。その後ろを着いて歩く男の子は、たぶん5~6歳。白い長袖のシャツを着ていたが、上着も着ずに少し寒そうだった。
この親子連れ、急いでいたのか小走りで通り過ぎて行く。
先を歩いているのは母親。後ろから子供が着いてきているかを確かめもせずに、自分のペースで急ぐ。子供は置いていかれまいと必死に走る。
その直ぐ横を車が走る、歩道も無い道。
たったこれだけの一瞬の光景に、妙に違和感を覚えた。
私なら子供を前に歩かせるか、手を繋いで歩きたい。
私の目の届く所を歩かせたいと思った。
走っていく親子の後姿が、妙に気になった朝。