グワシ!

漫画『まことちゃん』の作者である楳図かずおさんが、東京武蔵野市で自宅を建設中なのだが、その外観の色や装飾が近隣との調和が取れないと、工事の中止を求める仮処分申請が提出されたそうな。
ここ
書かれている計画が本当なら、近所に住む人たちの戸惑いは、よーーーく分かる。
閑静な住宅地に、突如として異世界の産物が誕生したら、それだけで自分達の価値や思い出、ひょっとすると人格までが否定されたような気持ちになるかもしれない。だから「暗黙の掟」のような物があると信じているし、守ろうとしているに違いない。


ところが楳図さんと言えば、奇才で変わり者としての印象も強い。また、赤に白のボーダーシャツはトレードマークにもなっており、その自宅となれば、きっと外壁も赤と白のボーダーで塗り分けられても不思議じゃないし、楳図さんなら遣りかねないとも思う。
が、しかし、それを規制する法律はあるのかな?例えば地域の環境や景観に関する規制が設けられており、それに従って「止めてくれ」と言っているのか?ここポイントだと思う。
残念ながら今のこの国では、法律や決め事さえ守っていれば、廻りとの調和なんて関係ないし、己の我侭を通す事だって何の問題も無い。国のトップである大臣だって、「法律に則って領収証は見せません」と言っているぐらい。
大切なのは、楳図さんが良いとか悪いとかじゃなくて、そう言う施主の要求が有った時に、それを諌める事すら出来ない質の低い設計者&施工者。そして、一軒の家が街を作ると言う建築教育、あるいは環境教育を、義務教育の中に刷り込んでこなかった国の教育の失敗と、その上の建築教育の失敗でしょうね。
それはまるで、枯れた芝生に緑色の塗料を吹き付け、上辺だけを緑に見せる事に似ているし、岩肌の現れた山に緑の塗料を撒く事に似ている。けっして他国の愚行を笑う事は出来ないと思うよ・・・この国の建築教育は。
楳図さんは、話せば分かってくれる人だと信じたい。
円満に解決してくれる事を祈りたい・・・・・・・サバラ!

コメント

  1. ぼーす より:

    烈しく同意します。
    いつからなんでしょうね、自分のところなら何やっても良いという風潮になったのは。
    隣の家、常にドアをバタン!ドタドタドタと五月蠅いったらありゃしない。
    (ちなみに、そこは借家です。)

  2. 匿名 より:

    きっと無駄を排除して、「効率最優先」を目指した頃からだと思います。
    最近の昭和回顧主義的な風潮は
    ひょっとすると、いつの間にか失くしてしまった何かへの
    憧れなのかもしれませんね。