推理小説 (河出文庫)
秦 建日子
「アンフェアなのは、誰か」と書かれた栞が、殺人現場に残されていた。全ては、そこから始まった。連続殺人事件を予告する『推理小説』と題された小説が、メディア・警察に届いた。
犯人から、「これ以上の殺人を食い止めたければ、本の続きを落札せよ」との指示が入り、各出版社、警察はいろめき立つ。
TVドラマ「アンフェア」の原作本。著者はもともと、TVドラマの脚本家だったせいか、本よりもドラマの方が面白かったような気がします。(ドラマは観ました)
劇場型の事件構成は面白かったのですが、地の文の主観が誰なのかが分かりにくく、それを狙った叙述トリックなのかと思ったのですが、そうでもない。また序盤に巻きまくった多くの謎に対して、答えの無いまま終わっているので、若干のストレスを感じます。
文中に、全てにフェアを求める読者自体がおかしいと、書かれているので、それに対するアンチテーゼなのかもしれませんが、 リアル=問題だけで答えなしOK では無いと思います。構想が面白かっただけに、ちょいと残念でした。