極貧に耐え切れず、たった一切れのパンを盗んだ罪で、その男は19年と言う長い歳月を刑務所で過ごすことになる。フランス文学の巨匠、ヴィクトル・ユーゴの名作『レ・ミゼラブル』だ。主人公のジャン・バルジャンは、一切れのパンを盗んだために、波乱の人生を送った。フランスの動乱期の話だから、そんな設定もあるのだろうと思いつつ、子供の時に読んだ記憶がある。劇団四季が演じるミュージカル『レ・ミゼラブル』も観たので、なおさら印象深い。
それが飽食の時代と言われる現代で、同じようなことが起ころうとは、夢にも思わなかった。それと言うのも、コンビニでパン1個を盗んだ男が店員に捕まり、交番へ連れて行かれる途中で道に伏せて抵抗したら、店員に蹴られ、それが原因で死亡すると言う事件が起こったからだ。
ここ
死んでしまった万引きも哀れだが、結果的に蹴り殺す事になってしまった店員も可哀想。
でも一番辛いのは、それがこの国の現状だと言う事実。年間に3万人以上の人が自殺し続けるのが、この国の姿で、パン一切れのために死ななければならないのが、先進国と呼ばれる経済大国日本の偽りの無い姿だと言う事。この件を例外的な事件として考えることは簡単だけど、残念ながら明日も「例外」と言い切れるかは分からない当世。
国会議員の先生様、自分のパソコンで領収書を作り、それをもって国民の血税を掠め取るような真似は、いい加減ににお止め頂きたいのです。
余談だが、『レ・ミゼラブル』を始めて和訳し、日本に紹介したのが「黒岩涙香」だと言うのは有名な話。涙香が『ああ無情』と和訳したのです、はい。