今、そこにある危機

なんでも来月から、ガソリンの値段が170l/円になると聞いた。 一体何処まで上がるのだろう? 
この問題、車に乗らない人には関係無いように思えるが、勿論そんなことはない。そして家を建てる人には、大いに関係がある。 
例えば、ここ近年の鉄材価格の高騰は、驚くべきものがある。一年前から比べても、30~40%ぐらいは値段が上がっている。鉄だけでなく原油高騰に伴い、建設資材が全般的に値上がりしている。当然だが、それらの資材を陸送するときの、ガソリン代だって関係がある。
建設工事と言うのは、それら一つ一つの価格の積み上げで造られる物だから、今のように物の値段が日々変動すると予算がとても読みにくい。 まして設計と言う作業は、一品製作の創作行為だから、こんなに資材価格の変動が激しいと、極端に言って造っている物の値段が【時価】みたいになってしまう。冗談のような話だが、それが実情だ。
知り合いの方に聞いた話では、見積書を提出する時に一昔前は【有効期間 30日】とか【60日】と書かれていた物が、今は【有効期間 10日】と短い期間で書くらしい。つまりそれぐらい価格の変動が激しいと言う事。
「それじゃあ、怖くて建物なんか造れないジャン!」と言う事になってしまうが、そこを上手に乗り越えるには、施主と設計者のコンビネーション。そして両者のバランス感覚が重要になる。そして何よりもその底辺にあるのは、両者の絶対的な信頼関係。計画当初から、あれもこれもと欲張ることなく、控えめに考えるぐらいでちょうど良いのかもしれません。
先日行われた小田原市長選。争点の一つに、建設計画中の「小田原城下町ホール」の再考がありましたが、見直しを主張した加藤氏が当選した事により、全面的なバックアップをする神奈川県知事が、「見直しも止む無し」と発表しました。立ち止まり再考する事は勇気が要る行為ですが、時には突き進むより良い結果が得られる場合も有るのかもしれませんね。