カラフル (文春文庫 も 20-1)
暗闇の中でさまよう、死んだはずのぼくの魂。そこへ変な天使が現れて、きみは現世で大きな過ちを犯した罪な魂なので、本来ならば輪廻のサイクルから外れてしまうところなのだが、幸運にも抽選に当たったので、一度だけチャンスが与えられるラッキー・ソウルだと説明される。これから現世に戻り、ある人物の体にホームステイし、修行を積む事を強制される。修行期間中に自分が犯した罪を思い出す事が出来れば、魂は輪廻のサイクルに戻る事が出来ると言う。こうしてぼくはガイド役の天使に導かれ、さえない中3生・真の体にホームステイする事になる。しかし真とは、ある理由から自殺した少年だった。ぼくは真になって生活しながら、自分の罪を思い出す事が出来るのだろうか?―
森さんの代表作とも言われている本書ですが、期待に違わず面白かった。たぶん私の場合、森さんの作品は何を読んでも当たりだろうと思う。設定だけを見れば、どこかで読んだ事が有るような設定なのだが、登場人物それぞれの視線が柔らかい。柔らかすぎて軟弱な観も無くも無いが、私には楽なのでそれで十分。その当たりの柔らかさと緩さが、私には合っている。売春する子供や不倫する大人も出てきますが、それでもスポンジの感性を持つ子供達が読むと良いと思う一冊でした。
それと私の場合、森作品を続けて読んではいけない事にも気付いた。たぶんハマってしまうと続けて読みたくなるし、まだ本棚には未読作品も有るのだが、続けて読むことによって作品ごとの良さや感動が、当たり前になってきそうな気がするからだ。と言う事で、次は歌野さんなどを、久しぶりに読んでみようと思っている。