『ウォリス家の殺人』 読了-22

ウォリス家の殺人 (創元推理文庫)
ウォリス家の殺人 (創元推理文庫)
大学教授のモーリスは、幼馴染の作家ジョフリーの家族に懇願されて、ガーストン館を訪ねることになった。ジョフリーの妻の話によれば、彼は兄のライオネルに半年に渡り脅迫されている事と、近く出版する予定の自身の日記本のことが原因で、近頃様子がおかしいとの事。不穏な空気が漂う中、ある日ジョフリーとライオネルの姿が消え、ライオネルのコテージからは、大量の血痕と銃弾の後が見付かる。消えた二人の行方は? そして第二、第三の事件が―
英国紳士の井出達をした、由緒正しいミステリと言うのが、読後の第一印象。物語の節目ごとに、折り目正しくアイロンが当てられているようで、とても端正な作品でした。一つだけ難を言えば、物語の後半、事件の全貌が明らかになっていく件で、若干畳み掛けるスピード感に欠ける様な気がして、そこが残念でした。それでも舞台展開の妙や、フェアなトリックに脱帽。綺麗サッパリと、騙されてしまいました。