『福家警部補の再訪』 読了-26

身長152cm、ショートへアに縁無し眼鏡を掛け、紐を通した警察手帳を首からぶら下げる。何処から見ても刑事には見えない。だが、そんな容姿に騙されてはいけない。それが捜査一課の福家警部補だから。その福家警部補が帰って来た。前作の『福家警部補の挨拶』に続く第二弾!『福家警部補の再訪』です。倒叙形式で描かれる本作でも、犯人は、それぞれの道での第一人者ばかり。
人気の遊覧船クルーズ中に警備会社社長が殺人を犯す『マックス号事件』をはじめ、 売れっ子脚本家・漫才師・フィギィアの造詣クリエイターとの頭脳戦。今回も福家警部補の推理が冴える―
大倉さんの文体、ストーリーの展開、事件の妙とキャラクターの魅力、それら全てが重なり合って、実に読みやすい文章になっています。ミステリに縁遠い方は、ここから入れば入りやすいかもしれないと、思うぐらい。
以前、NHKで『オッカムの剃刀』をドラマ化していた時にも感じたのですが、福家警部補のキャラクターに注目される事が多いようですが、それはフェイクですのでご用心。その陰に隠した、緻密で隙の無い論理の構築、あるいは真摯な推理こそが、彼女の魅力だと思います。また、漫才界や人気戦隊物のヒーローにも造詣が深い、要らん(笑)博識さこそが、彼女の推理の下地になっている事が、とても馴染みやすくて楽しい。お勧めの一冊でした。
次に福家警部補に会える日を、心から楽しみにしています。

コメント

  1. 粋な提案 より:

    「福家警部補の再訪」大倉崇裕

    鑑識不在の状況下、警備会社社長と真っ向勝負(「マックス号事件」)、売れっ子脚本家の自作自演を阻む決め手は(「失われた灯」)、斜陽の漫才コンビ解消、片翼飛行計画に待ったをかける(「相棒」)、フィギ…