『あなたに似た人』 読了-32

ロアルド・ダールの短編集で、全15編が収録されている。
初めて読んだのは、今から・・・・・・いつだろう?10年ぐらい前か?
収録されている『南から来た男』は、有名すぎるほど有名なので、今回はスルー。
今回読み直して面白かったのは、『偉大なる文章製造機』。
タイトルから予想できるとおり、小説を書いてくれる機械の話。ジャンル・題材・登場人物の数・ページ数・作風などのボタンを選択すると、その内容どおりの作品が出てくると言う機械を発明した作家志望の主人公。この男、機械に書かせた作品が大ヒットし、一躍有名になる。
その結果に気を良くした男、今度は売れっ子作家の元を訪ね、作品を機械に書かせませんか?と、買収をはじめる。 それがまたまたま大成功。市場を独占した男だったが、ある日そんな彼の元に一通の手紙が届く。
ダールの作品は、童話からミステリまでの全てにおいて、ニヒリストとしての雰囲気が強く出されていると思う。今思うと、『チョコレート工場の秘密』にしても、よく売れたなぁ~(笑) けっこう、ギリギリだったと思うのだが・・・。
ダールは「ギャンブル」と「悪しき妄想」を嫌い、楽して儲ける的な人物を描いても、けしてハッピーエンドでは結ばせない。そんな人物・・・、実は読者の中にも、そんな心がありませんか?と投げ掛けているのが、この『あなたに似た人』だ。そう思いながら読み直すと、<あっ、これは私に似てる>とか、
<こんな考え方はあるな>と、納得してしまう事が多々。
なんだか今から30年以上前のダールに、私の性格が見抜かれていたような気分で、なんか悲しい。

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