『そして名探偵は生まれた』 読了-36

「雪の山荘」「南海の孤島」「奇怪な形をした館」「多国籍なアパート」と言った、どれを取っても楽しめそうなテーマで繰り広げられる不可能犯罪の中編4作。
「雪の山荘」は文字通り、伊豆の山荘で起こった密室殺人に、名探偵が登場するのだが―。
表題作『そして名探偵は生まれた』
「南海の孤島」は、屍島と言う島に閉じ込められてしまった男女が、何者かに一人ずつ殺されていく。犯人の目的は、そして島から脱出する事は出来るのか!祥伝社400円文庫シリーズとし発表された『生存者、一名』。これは文庫で既読でした。
スリー・スター・ハウスと称した三つ矢型の平面をした館を建築した主人公は、学生時代のミス研仲間を館に招待する。そこでゲームとしてのミステリー劇を、各人に演じてもらう事で、館を楽しんでもらおうと企画するのだが―。『館という名の楽園で』←実はこれが読みたくて買いました。
今にも倒れてしまいそうな古いアパートには、多国籍な住人が住んでいた。その一室で一人の中国人が殺される。外は雪。犯人らしき人物が出入りしたとは思えない時間と場所で、起こった殺人。まさにそこは密室と呼ぶに相応しい空間だった。『夏の雪、冬のサンバ』←実はこれも既読。
と言う事で、4作品中2作品は既読と言う本だったのですが、それでも充分面白かった。
なぜか?理由は簡単、歌野さんの<不可能犯罪に挑戦する>と言う姿勢が、充分に感じる事が出来るから。確かにツッコミどころはありますが、そんなことをイチイチ言って、自分から読後の満足感を放り出し、後味の悪い時間に突入するような愚かな事はしたくない。だから言わない。少なくともブログに書くような真似はしない。呑み屋で隣に座った人に、コッソリと言う(笑) もっとも私のリアル周りには、ミステリ読み・・・と言うか本好きさえ少ないので、滅多に話す機会はないのですが。
これからも歌野さんには、建築物あるいは建築アイテムを使ったミステリを、ガンガン書いちゃって欲しいと思います。必ず読みますから。そして心の中で「んなアホなー!」と、突っ込ませていただきますので(笑)

コメント

  1. 岩脇 より:

    はじめまして。
    鈴鹿市在住の岩脇と申します。
    『建築的じゃない日々』、毎日拝見させていただいています。
    『設計の手を止めて』も、興味深くほぼ読ませていただきました。
    『犯行現場の作り方』も、2回ぐらい読ませていただきました。
    最近、『そして名探偵は生まれた』を読んで、
    だいたい同じような感想だったので初コメントです。
    でも、この作品にも“一級建築士さんならでは”の
    もっと楽しいツッコミどころがあるのなら気になるところです。
    ぜひともこっそり聞かせていただきたいですー^^
    あと、『夏の雪、冬のサンバ』、殺されたのは中国人でしたよ。
    いきなりあらさがしですみません。
    それではまた。
    これからも楽しみにしています。

  2. 探偵長 より:

    岩脇さん はじめまして。
    いつもお立ち寄りいただき、ありがとうございます。
    物凄く、深く読んで下さっているようで恐縮です。
    岩脇さんもミステリがお好きなようで、お仲間ですね。
    今後とも宜しくお願いします。
    ところで『そして名探偵が生まれた』ですが、建築的には突っ込みたいところが満載でしたが
    それ以上に、楽しませて貰えた箇所もテンコ盛りでした。
    だからあまり挙げ足を取ったりは、したくないんです。
    ミステリ好きと呑みながら、
    「あれは、○○だよね~」とか
    「あのトリックの△△には無理があるよね~」というのは有りですが
    残念ながら、私の廻りにはミステリ読みが居なかったりします。
    ある意味、フラストレーションが溜まります(笑)
    ご指摘いただいた『夏の雪、冬のサンバ』は、ありがとうございます。
    直ぐに訂正しておきます。
    「あの作品中のアレにしても、ふだんあんな状態なのに
    あの後で、あんな状態になっていたら、気が付かないほうがおかしいですよね?」
    なんて事や
    それ以前にあれ全体が、その状態で成立していると言うのは無理だろー
    みたいな感じで、突っ込んでます(笑)
    でもやっぱりミステリは楽しい。
    これからもどうぞ宜しくです。
    ちなみに鈴鹿と言うとで、サーキットはお近くでしょうか?(笑)

  3. 岩脇 より:

    探偵長さんのツッコミは単なるイチャモンや批判ではなく、
    愛あるツッコミだからOKだと思いますよー!!
    「料理の上げ下げが大変」とか「ゴージャスなのにモノロック」とか、
    当時スルーしていたことだったのでとても面白かったですー!!
    鈴鹿サーキットまではたぶん5~6kmぐらい、車で15分ぐらいでしょうか。
    ブンブン走っている音がよく聞こえてきます。
    独身時代はサーキットすぐ横のアパートに住んでいましたよ。
    目の前の空き地が駐車場やテント場になっていましたねえ。
    テレビの音よりナマ音のほうが大きいです。

  4. 探偵長 より:

    「愛のあるツッコミ」、なんか良いフレーズだぁ~(笑)
    仕事は違いますが、同じようにゼロから創り出して行くと言う作家さんの仕事に対して、ある部分で理解していると言うか尊敬していると言うか、そんな距離から見ています。
    だから厳しくなれないと言うか、シンクロしていると言うか、そんな感じなんです。
    鈴鹿サーキットの直ぐ傍ですか。
    それは遠く離れている私にしてみれば羨ましいですが、実際にそこに住まれていると、どうなのでしょう?(笑)
    私も観光地が実家があるので、夏の行楽時期には、近くに買い物に行くだけでも苦労します。良い事もあり、悪いこともあり・・・なのでしょうね。

  5. 岩脇 より:

    そうですよねえ。
    科学関係、医療関係、法律関係、警察関係、建築関係などなど、
    いろんな観点から思わぬツッコミが入るでしょうから、ミステリー作家さんは大変だと思います。
    尊敬です。
    鈴鹿サーキットが近いからといって、そんなに悪い点は何もないと思いますー。
    混雑といっても一時的なことですし。