『天城一の密室犯罪学教程』 読了-44

2008年、ミステリ作家の有栖川有栖さんと、共著で出版させていただきました『密室入門!』。
その中で有栖川さんが、密室の定義を説明してくださる際に使われた参考文献の一つが、この『天城一の密室犯罪学教程』の中に書かれている、「密室犯罪学教程―理論編」でした。
著者の天城さんは、数学者として活躍されていましたが、同時にミステリ作家としても活躍されていた方でした。2007年に、残念ながらも肺えんで他界されましたが、病床の身で書かれた「あとがき」には本書を出版できる喜びと、ミステリに対する深い愛情が感じられ、思わず胸が熱くなりました。
有栖川さんとの対談の際に、「密室犯罪学教程―理論編」だけは読んだのですが、それ以外の「実践編」や解説、その他評論などを読んでいなかったので、遅まきながら今回読んでみました。数学者らしい検証や分類に基づいた数々の作品は、どれも自説を立証せんとする数式のそれと似ていて、とても知的で楽しかったです。少しだけ難を言えば、語り口調が古い言い回しをしている事があり、味はあるのですが少しだけ読み難かったです。でも、読めて良かったと思える一冊でした。

コメント

  1. みけねこ より:

    探偵長様、こんばんは。
    いつも図書館で見るたびに、借りようかどうしようか悩む本です(苦笑)
    いずれは読まないとなあ…と★
    積読が少なくなったら、ちょっと考えてみます(…これって、遠まわしに「読む日はこない」と言ってるようなものですね…)

  2. 探偵長 より:

    みけねこさん、こんにちは。
    「積読本が少なくなる」と言うのは、本好きにとって「酸素が薄くなる」と同じ意味ですね(笑)
    天城さんの作品は、ある意味で玄人受けする作品。
    それも作家さんや研究者には、とても深い作品ばかりだと思います。
    つまり研究者としての作品であり、娯楽としての作品ではないのかもしれません。