頭上の地獄

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奈良県で、5歳になる男の子を餓死させた疑いで、両親が逮捕されると言う事件があった。
男の子は一日一食しか与えられず、亡くなった時の体重は、5歳時の平均体重の半分の6Kgしか無かったとのこと。何よりも残酷なのは、両親は男の子をロフトに押し込み、カーテンを敷いて隔離していたこと。食事は両親と下の子供の3人だけが食卓を囲み、彼には一日に一度だけ、ロフトの中で食事をさせていたらしい。
トイレに行かなくてすむようにオムツを付けさせ、自力では梯子を降りることも出来ないほどに体力が落ちていくなか、板一枚下では両親が揃ってTVを観ている光景とは、果たして一体どんな世界だったのかを想像することも出来ない。
日常、家の設計をしている時に、ロフトを要望される方は多い。
勿論、収納場所の確保としてのご要望なのだが、その荷物の中には、お子さんの物が含まれている。例えば雛人形や鯉のぼりと言った季節物から始まり、幼稚園や学校で作った課題や絵の数々。言ってみれば、愛情の保管場所のようにも感じていたのだが、そんな場所が、こんなふうに使われるなんて考えてもみなかった。
いや、風呂だって、押入れだって、台所だって、同じような陰惨な事件は起きるし、家と言う空間が安全な場所だとは思ってはいない。それどころか大半の事件は、家の中で起きている。ただ、《ロフト》という場所が意外だったことと、その死に追いやられる光景が、妙に生々しく、リアルに想像できてしまったことに怖さを感じたのかもしれない。そして、もしかしたら、親子4人で暮らしていた家の広さが、とても狭かったのかもしれないと感じてしまったことが、妙にナーバスにさせているのかもしれない。朝から変な話でスイマセン。