『二つの密室』 読了-21


フレンチ警部が二つの密室の謎に挑む。
仕事を捜し求めていたアンは、とある御屋敷に待遇の良い条件で家政婦として勤めることになる。
屋敷には病弱な妻と、愛人の居る夫、子供の勉強を見る家庭教師や庭師やコックが暮らしていた。
ある日アンは、主人と愛人の聞いてはいけない会話を聞いてしまう。そして直後に、妻が鍵の掛かった自室でガス中毒で死んでしまうという事件が起きる。状況から自殺と判断されるが、夫と愛人が殺したのではないかとの疑惑が、アンの心に広がっていく。そして第二の密室で事件が起きる――


ある意味ではミステリの王道的展開で、読んでいて楽チンでした。
お約束の怪しい人物、途切れ途切れに聞いてしまう怪しげな会話、密室での自殺?、真実を話したがらない庭師や家庭教師と言った具合に、 これこそ ザ・王道ミステリ(笑)
でも、そう言う作品て大切だと思います。
最近では読者を驚かそうと、捻って捻って、これでもかって言うぐらいに捻り倒して、その結果着地したのはそこかい! って言う作品も少なくないような気がするから。
本作に登場する二つの密室も、上手に演出されています。
あまり細かく言うとネタがばれちゃうので言いませんが、犯人が同一人物なら、一つ目の密室で成功したトリックを、二つ目でも使いたくなるのが人情と言うもの。それなのに、まぁー綺麗サッパリ、別の物で構成しているのですから、この潔さはクロフツに対して、お見事と言うしかありません。
その上で書名を「二つの密室」にしている辺り、なんかある意味凄い(笑)
誤解の無いように言いますが、私、誉めてますから。
特に二つ目の密室を非難する方も多いようですが、私はどちらかと言うと、こっちの方が好きなぐらい・・・・・・いや、それは言い過ぎか・・・・・・。
とにかく、密室って楽しいですね。