天候が怪しいながらも、朝一から現場では、地盤補強工事の段取りが進んでいた。
支持層が深くて、鋼管杭などの支持杭が採用できない。
検討した結果、採用したのが「タイガーパイル工法」という摩擦杭的な地盤補強方法。
私も、現場担当の監督さんも、実際に採用するのは初めてなので、大いに期待を込めて見て来た。
これがそのロッド先端部。
建築面積13坪ほどの家に、合計24本の杭を打ち込む。
まず最初に、直径40cm程のドリルで穴を開けながらセメントを流し込む。その長さ、およそ3.5m。
ここまでは、ソイルセメントと同じだ。
オーガ(ドリルのこと)を引き抜くと同時に、オーガ中央のパイプと同じサイズの節付き鋼管杭を沈めていく。それが下の写真。まるで直径76.3Φの、黒い竹のような形をしている。
これを、オーガで開けた40cmの穴の中央部に、静かに差し込んでいく。これが重要なポイント。
なぜなら、40cmのソイルセメントで固めた杭の中央に設置するから、摩擦抵抗が均等に保てるわけで、万一片側に寄ってしまうようなことになれば、計算値の摩擦抵抗が確保できないからだ。
そこで気になるのは、一体どうやって40cmの杭の中央部に落とし込むのか? ということ。
手で、押し込んでいた(笑)
一瞬、呆気に取られた。
でもよく見ていると、なるほど、これが一番理に適っている方法だと納得した。
セメントソイルの杭は3.5mの長さだが、節付き鋼管杭の長さは、それよりも若干短い3mほど。
オーガの羽は逆回転させて引き抜くのだから、引き抜いた直後なら、中央部分にオーガの軸の跡が残っていることになる。そのオーガの軸跡に、水準器を当てながら差し込んでいくのだから、大きく曲がる筈も無い。
これを機械で差し込もうとすれば、その力の大きさに、かえって軸がぶれる可能性もあるだろう。
アナログはデジタルよりも強いということだろう・・・・・・ちょっと違うか?(笑)
計24本の摩擦杭が、作業開始から4時間後には、打ち込みが完了していた。
このタイガーパイル工法、コスト的には鋼管杭などよりも高めなのだが、仮に支持杭の鋼管杭を、数十メートル下の支持層まで打ち込むことを考えたとしたら、果たして本当に高いと言えるのだろうか。
作業日数、搬入道路の狭さ、施工難易度などを複合的に考えたら、ひょっとすると経費的には、こちらの方が安いと言えそうな気がする。次回、また地盤の悪い土地での計画があった時には、積極的に検討してみたいと思う。
雨の中、お疲れ様でした。
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