映画化されるのを聞いて、読んでみました。
林道脇に放置されていたボロボロに朽ち果てた車の中から、男性と思われる遺体と、その足元に寄り添うように死んでいる犬が発見された。鑑定の結果、男性は死後一年程だが、犬は死後3ヶ月程度と判明。この差は一体何を意味するのだろう――
なにやら謎めいたあらすじですが、本当は男性と犬との愛情溢れる物語だと思います。
読後、だから犬を飼うのは嫌なんだと、益々そんな気持ちになってしまいました。
本当は犬が大好きです。
でも大好きだからこそ、いろんなことが怖いんです。
たぶん人への感情とは少し違います。
物言えぬペットだからこそ、こちらの感情で相手の気持ちを推し量ってしまい、そこから生まれる人へのものとは違う愛情があります。それを無くすのが怖いんですよね・・・。
なんでしょう、このへそ曲がりっぷり。
ご高齢の方が連れ合いを亡くし、その寂しさを埋めるために動物を飼う。
飼っているときは無償の愛を注ぎ、動物と自分の二人の世界を造りあげ、その世界の中で癒される。
だが残念なことに、その最愛のペットまでもを看取る事になり、そしてその寂しさを埋めることが出来ずに、もがき苦しむペットロス症候群。物凄く気持ちが分かってしまいます。
今朝、インコの蒼が三つ目の卵を産みました。
その姿を見守っているだけでも辛いのに、こんなに深い愛情で繋がってしまったらと思うと、それはそれは怖いのですよ。
犬好きの方は、何かのチャンスがあれば、是非パラパラっと読んでみて下さい。
読後、傍らに犬が居れば、きっと頭を撫ぜてしまうと思います。
正直、違和感が無いと言えば嘘になりますが、それも含めてペットに対する愛情を考えることになる一冊だと思います。