『幽霊の2/3』 読了-5
出版社の社長宅で開かれたホーム・パーティの席で、人気作家のエイモス・コットルが毒殺された。エイモスは「幽霊の2/3」と言うゲームをしている最中に殺されたのだか、一体誰が? どうやって? 調査に乗り出した精神科医ウィリング博士が、辿り付いた驚愕の真実とは――。
1956年に出版された本書が絶版になってから、半世紀以上が経ちます。その長い年月の中で、多くのミステリファンから語り継がれた名作が、この度、新約版として刊行されました。
最後の一行を読み終えた時、思わず流石! センスが良い! と、唸ってしまいました。
何がかって? 何もかもがですよ。
まずパーティの席上で、大勢の人たちとゲームに興じる最中に毒殺されるというトリック。実はこのトリックが、どんなトリックなのかなんて言うのは瑣末なことです。作者は読者の頭を捕まえて、右へ左へと揺さぶりたいだけ揺さぶるのですが、それがまた嫌じゃない! その結果、毒殺のトリックなんて何処かへ行ってしまい、それよりも複雑な謎に目が向いてしまうのです。
トリックと名が付く物は人並み以上に好きな方な私ですが、そんな私が気にならないほど、他の謎が魅力的なのです。大変、堪能させていただきました、はい。ちなみに杉江松恋氏のあとがきも、大変魅力的でした。このあとがきが本書の100%だった魅力を、120%に引き上げていると言っても過言ではありません。このあとがきは、とっても楽しめると思います。
天工舎一級建築事務所
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コメント
再びこんばんは。
私もこれ読んでるはず…と自分のブログを見返して、2009年の9月25日にエントリしてました。
…えーっと、私、読み方間違ってたみたいです…。
とにかく、タイトルに全てを持っていかれたという記憶だけが鮮明で……。
時間ができたら要再読本ということにします…。
再び、こんにちは(笑)
いえいえ、本の感想など読み手の嗜好ですから、私が面白いと思ったものでも、そうじゃないと思われる方が居るのは当然こと。
ミステリ本に限らず謎を面白いと感じるのは、本全部が面白いこととはイコールだとは思っていないのです。どこかがキラッと光っていれば、その一点において面白い! と思ってしまう性質なです、私。
そう言う意味では、あまい(ぬるい?)ミステリ読みなのかもしれません(笑)