家の重さと津波の力
構造設計者と、津波の力の大きさに関して、話をしていました。
例えば2階建て木造住宅で、仮に30坪の広さの建物を考えたとき、その建物の総重量は30t程になります。乗用車一台が1tだと仮定すると、およそ30台分の重さです。これが同じ大きさの鉄筋コンクリート住宅になると、その重さはいきなり6倍の180t程になります。
今回の北関東大震災の津波は、木造の住宅を根こそぎ押し流していました。水が引いた後の様子を見ると、コンクリートの基礎だけが残っていることが分かります。つまり土台と柱を繋ぐアンカーボルトが引き抜かれてしまい、その結果建物が流されてしまったのだということが分かります。
柱と土台は地震の力に拠って引き抜かれないように固定されているのに、どうして引き抜かれてしまったのだろうか? ひょっとして津波に負けないようにするには、柱と土台を今以上にガッチリと固定すれば良いのでは? と、考えてみました。でも、話はそう単純でもありませんでした。
まず木造の建物には、想定出来ない浮力が発生します。つまり木は水に浮くってこと。それから地震力や風圧力は、ある程度推定できたとしても、津波の場合はその高さ(これは面積といっても良いでしょう)が、どのぐらいのスピードで押し寄せてくるかが想像できないのです。
今回の津波は、最高で39m近い高さの津波が、時速30kmあまりの速度で押し寄せた場所があると聞きました。1m×1mの水の固まりの重さが1t。これが39mの高さになれば、その幅が1mだとしても39tの重さになります。それが時速30kmの速度でぶつかって来たのですから、その力は想像も出来ません。地震の力でコンクリート住宅が転がってしまうことは有り得ませんが、津波の力ならコンクリートの住宅を転がしてしまうのです。
今までは建物を建てる際に、地震や台風に対しての安全性を考慮していましたが、これから先、ひょっとすると津波に対する耐性も考える必要があるのでしょうか。ちょっと想像も付きません・・・・・・。
天工舎一級建築事務所
E-mail toshio0223@k-tantei.com
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