記憶


震災から3ヶ月が経つ先週の土曜日、高校生の弦楽合奏発表会を聴いてきた。
会場は一流のアーティストもライヴを行なう広いホール。私も以前、来生たかおのLIVEを観に行ったことがあるので、その様子はなんとなく知っていた。あの広い大ホールを、高校生の部活動の演奏会で埋めることが出来るのだろうか? と心配したが、それも杞憂。驚いたことに、満席とは言わないまでも、かなりの人が入っていた。
総勢60名ほどの部員の演奏は、15分の休憩を挟み、およそ2時間あまり。
曲目もクラッシックあり、演歌あり、ドラマ主題歌ありと多岐に渡り、会場に来た幅広い年齢層の方が楽しんだようだ。だが何よりも来客の心に残ったのは、最後に挨拶した部長さん? の言葉だったと思う。
3月11日に発生した東日本大震災。その後は登校すらできない日々が続き、ようやく登校することが出来るようになっても、部活動は出来ない。少しして、ようやく部活動を再開することが許されたが、こんな時期に自分たちは楽器を演奏していいのだろうか? 他にやるべきことがあるんじゃないだろうかと、思い悩み苦しんだという。
我慢して我慢して我慢して、後ろめたい気持ちを抱えつつも、部員全員で久しぶりに音を合わせたとき、とても嬉しかった、とても楽しかった。あのときの気持ちは、けして忘れないと、涙ながらに話したとき、場内のあちらこちらから啜り泣く声が。
弦楽合奏
たぶん保護者の立場として感涙していた方が多いと思うが、それ意外にも、震災後にこんな子供たちまでもが、自粛をしなければならないのではないかと胸を痛めていたこと。そして被災者の方に対する思いや、被災地から遠く離れた場所であったが、彼ら彼女らなりに感じた恐怖のこと。そしてそれら全部を含めた高校生活最後の演奏会に対する想い、そんな気持ちにシンクロしたのだと思う。
良いものを観た。いや、良いものに触れたと言った方が正しいかもしれない。
彼らにとって震災がどのような記憶として残るのかは分からないが、そこから学んだことは、けして少なくなかったことが、彼らの演奏する音楽から、しっかりと感じることが出来たから。
天工舎一級建築事務所
E-mail toshio0223@k-tantei.com 
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コメント

  1. iu-kikaku より:

    こんにちは。
    涙がでそうになりました。
    ポチ、してゆきます。

  2. 安井俊夫 より:

    こんにちは。
    今日日の高校生は、シッカリしてます。
    私の高校時代とは、まるで違って恥ずかしかったです(笑)
    同時に、少し羨ましくもありました。