守るべきもの


文化財の保護か人の命かと考えれば、間違いなく人の命が優先されるべきです。それなのに、ここで揉めているのは、「今すぐに史跡に住居を建てなくても、他にいくらでも場所はあるだろう」という考えが働いているからなのでしょうか。
山の高台に国が指定した貝塚があるということは、大昔の人もその地を住居にしていたという事。子孫がそれに習うように建物を建て、そこで暮らすことも、ある意味では文化の伝承であり、教えを語り継ぐことにも繋がります。
史跡の保護や文化の研究は大切なことですが、そのリスクを国民に背負わせるのは如何なものでしょうか。背負うなら国が、我慢をするなら国が我慢するべきであり、国民に、それも震災の被害で何もかも失った、弱っている国民にそれを強いるべきではないと思うのです。
古の歴史を知ることが出来る「史跡は大事」です。小田原にも小田原城があるため、国が指定する史跡があり、その場所に住宅を建てようと計画すれば、小田原市と協議し、神奈川県と協議し、その後文化庁と協議して、許可が下りるまでに数年掛かります。
でも家を建てようと考えたとき、普通に考えて、そんなに待てる人って居ます? 待ちきれない人の中には、許可を取らずに勝手に家を建てたり、増築したりしている人だって居ると聞きます。それがけして良いことだとは思いませんし、そんな違法工事を行う業者さん含めて、厳しく罰せられるべきだとも思いますが、気持ちは分からなくもありません。
柔軟な発想や臨機応変な対応というものは、こんな緊急時だからこそ発揮されるべきであり、その柔軟さが信頼や未来へと繋がっていくような気がします。 国にとって守るべきは、今、そこに生きている人たちだということを思い出して貰えると、自ずと解決策は見付かるような気がするのですが・・・。
天工舎一級建築事務所
神奈川県小田原市荻窪314正和ビルみなみ302
E-mail toshio0223@k-tantei.com 
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コメント

  1. iu-kikaku より:

    こんにちは。
    客観的に考えると、何とも悩ましいところですね。
    ただおっしゃるとおり、そこに生活されている方々にとっては一刻をも争う事項だと思います。
    ポチしてゆきます。いつもありがとうございます!

  2. 安井俊夫 より:

    お疲れ様です。
    祭日なのに、お仕事でしょうか?
    記事だけでは、全ての情報を知ることは出来ませんから
    なんとも言えないところはありますが、
    それでも震災をきっかけに、その地域に住む人が対立するなどという構図は、けして見たくありません。
    その調整を上手にしてこそ、行政への信頼も生まれると言うものなのですけどねぇ・・・。