『真夜中の探偵』 有栖川有栖 著/読了


探偵という職業を法律で禁じられた、もう一つの日本。密かに探偵稼業を営む両親に育てられた純だったが、父は警察に捕らえられ、母は事件の捜査中に消息を立ってしまう。高校を中退した純は故郷を離れ、母の行方を追うために禁じられた探偵の世界に足を踏み入れていく。シリーズ第二段――。

本格物と呼ばれるミステリ作品において、探偵という存在は必要不可欠な筈なのに、その存在を否定することを前提にした物語。その設定は探偵を否定するものなのか、それとも肯定するものなのかは、非常に興味深い。有栖川さんの新シリーズに対する意気込みというか、書きたいものというか、コンセプトのようなものが随所に見え隠れしているように感じられます。続編は来春に刊行予定とのことなので、とても待ち遠しい。
ちなみに本書から読み始めても、十分に楽しさを感じることは出来ますが、前作の『闇の喇叭』から読み始めたほうが、その100倍は楽しめると思いますので、是非そちらから読んでいただきたい。
本筋とは全く関係ありませんが、読んでいて思わず突っ込んだ箇所があります。主人公が人にあだ名を付けるシーンがあるのですが、あごの尖った人を「三日月」、丸顔の人を「満月」、そしてその流れで自分のことを「新月」と名付けると、忍者好きかと思われると自嘲するシーンに関して。
その流れで忍者好きと分かるのは、たぶん60年代頃に生まれた方で、TVで「忍者部隊月光」を観ていた人だけですから! と思ったのは、私だけではない筈。
私、忍者舞台月光が大好きだったので、思わず「彼らは、あけぼの機関をイメージしているのか?」と、深読みしてしまったほど。ここだけは是非、聞いてみたい気がします(笑) 
秋の夜長に是非! お薦めの一冊です。
天工舎一級建築事務所
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