書籍は悪しき物であり、その全てが焼却処分され、何人たりとも本を隠し持つことは許されない時代。情報や知識は、国家の検閲を受けたテレビとラジオだけで、それを人々は不自然と思わずに暮らしていた。英国生まれの少年クリスは、自分の生きる意味を知るために旅に出て、日本のとある町にたどり着く。そこは周りを森に囲まれた閉ざされた町。森には「探偵」と呼ばれる番人が隠れ住み、悪しき者の首を切り落とす。だが町の人は首無し死体を奇異に感じることなく、自然死として受け入れている。さらには何軒もの家の玄関扉に、真っ赤な十字架が何者かに描かれる。探偵の招待は、扉に描かれた十字架の意味とは――。
表紙の可愛らしさに騙されてはいけない。かなりマニアックだし、首無し死体がゴロゴロ出てくる感じで、そこそこ怖い。しかもミステリ初心者の方が読むと、最後の最後で「ん?」と、なることは必至。
つまり、それだけ知っていることで(何をかは書けない)、初めて「面白い!」と、膝を打つ本。
また全320頁ほどの本だが、探偵役が登場するのは200頁を過ぎたあたりで、それまでが長い。最後まで読みきればその理由も理解するのだが、気が短い人だと、そこまでたどり着かずに飽きてしまう可能性あり。簡単に言えば、手の込んだ長い前フリがあり、前フリだと気づかずに、ダレるかもしれないということ。
続編もありそうな終わり方なのだが、続いているのだろうか?
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