『迷宮』 清水義範 著/読了



独身OLがアパートで死体となって発見された。凄惨な死体の状況に世間は恐怖するが、彼女にストーカー行為を働いていた男が、犯人としてまもなく逮捕される。死体の損壊状況の酷さから、犯人の深層心理に興味を持ったひとりの推理作家が、事件の背景に迫ろうと動き出すのだが――。

物語は、犯罪記録、週刊誌報道、手記、取材記録、手紙、供述調書の順で構成されます。
こうした叙述的な構成は好きだし、物語にも吸引力があるので、あっと言う間に惹き込まれました。

その意味では面白かった。
が! 個人的には、残念ながらツボには嵌りませんでした。
なぜなら、話がオチなかったように感じたから。
途中から、なんとなく意図には気付いたし、その顛末は面白かったのですが、そこまででした。
欲を言えば、もう一つクルリンと引っ繰り返って欲しかったのです。
また個人的には、この手の落とし方が、あまり好きではありません。
たぶん諸手を挙げて「面白かったー!」と言えないのは、そこが一番の大きな理由かもしれません。
天工舎一級建築事務所
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コメント

  1. 岩脇 より:

    まったく同じ感想でした!
    作者にはそんな意図があって書いた作品ではないんでしょうけど、こっちが勝手にもっと別のオチを期待しちゃうんですよねえ。
    短編「○○についてどう思いますか」のほうがまだ面白かった。

  2. 探偵長 より:

    この手の作品は、好みが完全に分かれると思います。
    好きな方は絶賛する作品かもしれません。
    つまり好み(笑)
    清水さんは文章がお上手なので
    ミステリとしてのオチに対する期待値が
    上がってしまうことが、いけないのかもしれませんね(笑)