表題作の『傍聞き』のほかに、『迷走』『899』『迷い箱』の三作品、計四作品が収録された短編集。
「ミステリーの真髄は短編にあり」と、昔から言われています。
中・長編にもたくさんの名作ミステリがあるで、「短編サイコー」とは一概に言えませんが、短い文章の中で明確な起承転結を構成し、かつ謎を散りばめる苦労が多いことは理解できます。
そして本書は読後、ため息を漏らす作品ばかりでした。
表題作の『傍聞き』は勿論ですが、救急車の中での緊迫した時間を描いた『迷走』や、消防隊員の現場での様子を描いた『899』は、読み応えがありました。 なんだか映画を観ているみたいです。
TVドラマはミステリのオンパレードです。
ドラマでミステリに興味を持ち、本を読んでみる!―― なんて感じは如何でしょうか?
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