子供の日


眠りの深い息子が、深夜になにやら騒いでいた。

どうやら金縛りにあったらしい。

しかも部屋の戸口には、男性のたたずむ姿も見たという。

思わず、「そうか、良かったな」と、声をかけた。





五月一日の夜、父が逝った。

通夜、告別式を済ませ、慌ただしく戻って来たのが昨夜のこと。

彼が見止めた男性の姿とは、その父の姿。彼にとっては祖父の姿だったという。



病気療養中だった父のもとを、三日には見舞いに行こうと決めていたのに、間に合わなかったことを悔やんでいた。葬儀の際には孫代表として別れの挨拶をした息子は、祖父のことが大好きだった。

そんな祖父の姿を、夢枕にでも見られたことに彼は喜んでいた。



今日は、子供の日。

亡き祖父の最後のプレゼントで無いと、誰が否定できようか。



そして気が付く。

私はまだ、号泣する準備が出来ていないことを。







連休中、仕事関係の約束をドタキャンして、ご迷惑をお掛けしてごめんなさい。

書籍をお送り下さったのに、そのお礼も出来ずじまいで、ごめんなさい。

また、仕事のお問い合わせのご連絡を頂戴しながらも、ご返事が遅れてごめんなさい。

たくさんのごめんなさいと、たくさんのありがとうを言った、ここ数日。



葬儀は終わったけれど、悲しみまで終わったわけではありません。

たぶん、本当の悲しさは、これから始まるのでしょうね。



GW、残すところは今日と明日の二日間です。


コメント

  1. みけねこ より:

    探偵長様
    このたびは、謹んでお悔やみ申し上げます。
    お力落としのございませんように…。

  2. 探偵長 より:

    みけねこさん、ご丁寧にありがとうございます。
    以前より体調を崩していたので
    心の準備は出来ていました。
    ただ葬儀を終え、一息付いたら
    少しだけ気が抜けただけです。
    順番ですから、仕方ありませんね。
    お気遣いに感謝です。

  3. まきまき より:

    息子さんが金縛り?
    探偵長がご家族のことを書かれるのは珍しいと思ったら…
    心よりお悔やみ申し上げます。
    「順番ですから」
    という探偵長の言葉が心に響きました。

  4. 探偵長 より:

    まきまきさん、ありがとうございます。
    大切な人の葬儀は疲れます。
    身も心もクタクタになります。
    大切な人を亡くすということは
    ひょっとすると自分の中の何かまで
    無くす事なのかも知れませんね。
    もっとも、葬儀で得るものがあることも知りました。
    子供の成長が、その最たるものだと思いました。