田舎の家をどうするか?
実家を離れ、遠く離れた地に住む人なら、誰もが一度は考えるであろう話を、分かりやすく解説した新書です。漫画『いっしょうけんめいハジメくん』の著者コンタロウ氏と、経済ジャーナリスト・三星雅人氏がタッグを組みました。
母の病気を機に、田舎の家をどうすれば良いのかを、「いっしょうけんめいハジメくん」家族が考えています。もし同じような状況にある方なら、あるいは将来そんな心配がある方には、何かの参考になることでしょう。
田舎の両親が元気なら良いのですが、どちらか片方が病気になったり、あるいは残念ながら他界するようなことになれば、その瞬間からこの問題に直面することになります。
そしてとても残念なことですが、そんな日は必ず訪れます。
今や地方都市の空き家の増加は、社会問題にまで発展しています。
行政が乗り出して対応策を講じているほどですから、その深刻度は計り知れません。
本書では全てのケースに、解決策を見出しているとは言えません。いえ、どちらかと言えば、明確な解決策は書かれていないと言っても良いでしょう。ですが空き家を放っておく事が、何の解決にもならないばかりか、空き家周辺の隣人や行政に対して、迷惑を掛けていることさえあると言うことを知ることが出来ます。
「空き家」と書くと、廃墟や廃屋、汚れ朽ち果てた迷惑施設のようにさえ聞こえてしまいますが、では「故郷」と書いてあれば、どう感じるでしょうか。「心象風景」「原風景」でも良いでしょう。
他人には廃屋でも、自分にとっては掛け替えの無い故郷。
自分の心象風景を、どう畳むのかと考えた方が、ひょっとすると分かりやすいかもしれません。
本書は、そんな田舎の家のことを考えてみる、良い機会になる一冊だと思います。
そして田舎に残してきたいろいろなものに、想いを馳せるきっかけとなる一冊だと思います。
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