躍る見積書


ここ数日の間に、何軒かの工事に関して、複数の会社からお見積書をお預かりさせていただいた。
あるリフォーム工事のお見積書を頂戴した時には、見積書をペラペラと捲りながら、「この単価は少し高いかもね~」と、印象を話しながら拝見していた。するとその2日後には、「もう一度、全ての項目を見直してみました」と、再見積書を届けていただき、その上、こちらがお願いしたわけではないのに、VE案まで作成してお持ちいただいた。
VE案とは、性能や質を下げずにコストを下げるための方法のこと。つまり減額案ですね。
VALUE ENGINEERINGの頭文字をとって、VE案と言うのですが、こういう資料を作っていただけると、クライアントに提出する際には大いに役立つので助かります。
また、ある計画案に対する概算御見積りをお願いした別の建設会社さんは、「あくまでも概算だから、細目までの記載は必要ないですよ」と、念を押したにも拘らず、詳細に調べた結果の見積もりを作成したいただき、こちらが恐縮しました。「なるべく正確な金額をお出ししたいですからね」とのこと。
ところが上記2件とは別の計画で、別の会社からお見積書を頂戴したのだが、こちらは正式な見積もりであるにも拘らず、工事の大項目しか書かれておらず、「一式 〇〇万円」とあるだけ。
久しぶりにそんな見積書を見て、正直チョッとビックリした。


たしかに総額とすれば、相場から考えて安いような気がするけど、その中に何が含まれていて、何が含まれていないのかが分からない。ひょっとすると、外壁は含まれているけど、屋根は含まれていないかもしれないでしょ?(笑) 
まぁ、それは極端な例えだけど、「絶対に大丈夫。私が考えていることは、全て含まれている筈だから」と、安穏に構えていられるほど私の神経は太くない。
まして、その見積もりを、私からクライアントに提出するわけだから、「これなぁに?」と聞かれたら、「さぁ?」とは答えられないのが私の立場。ホント、悩むわ~、こう言うの・・・・・・・。
新築でもリフォームでも、例えば庭のフェンスの補修工事のような小さな工事であったとしても、「一式幾ら」なんて見積書は、けして褒められるものでは無いと思います。
その金額の適正さを判断できないことは勿論ですが、それ以上に、工事の質に対しても「ここに頼んで大丈夫かいな?」と、心配になってしまうから。 
ちゃんとしている建設会社って、工事中の追加や変更事項に対しても、逐一見積書を作成し、その内容や金額を、クライアントが了承してからじゃないと工事をしません。手間だろうと面倒くさかろうが、その手順を踏むことで、後々の無用なトラブルから、建設会社自信とクライアントを守ろうと考えるからです。
見積書は金額を示すだけでなく、そこからもっと深い意味を読み取ることもあるのですから。
さて、これどうしょうかなぁ・・・・・・。
天工舎一級建築事務所
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