「せどり」、古本の中から価値のある貴重な本を見付け出し、転売することで利益を得ること。
作家を生業とする主人公は、古書店を営む「せどり男爵」こと、笠井菊哉と知り合う。笠井がもたらす数々な本に関する奇妙な出来事は、なんとも異色で奇天烈な事柄ばかり。古書に魅入られた多くの人たちの数奇な運命と共に、本に纏わる薀蓄なども語られ、本好きの読み手を魅了する作品です。
全体的に暗く、湿度の高い雰囲気を感じさせるのは、本書が書かれたのが昭和49年という時代背景のせいか、はたまた本が持つ摩訶不思議な魅力のせいか?
とくに第六話「水無月十三やおちゅう(漢字が変換できないて、ゴメンナサイ)」は、本の装丁家の話だが、読んでいて気分が悪くなるほどグロい。だがそれも偏愛の成せる業と思えば理解も出来る。
また、「ミステリ作品」と紹介されていたが、読んでいる時に「謎」を意識したことが無かったので、「ガッツリ、ミステリーです!」と、言われると違和感がある。
ひょっとしたら、『ビブリア古書堂』が話題になっているので、それと近い作品背景を持っていることから、ミステリと紹介されているのだろうか? ちょっと謎。
『ビブリア古書堂』好きが、そのイメージを持って本作を読むと、激しくダメージを受ける可能性があるので、お気を付けを。