『松谷警部と目黒の雨』 平石貴樹 著/読了


目黒で女性の変死事件が起きた。松谷警部は所轄の白石イアイ巡査と捜査にあたるが、被害者の周辺では、ここ数年、何やら不可思議な死が続いていることを突き止めた。女性を殺害した犯人を追う捜査は、過去の事件へと遡り始めていくのだが。本格バリバリの推理小説。

平石さんと言えば、東大の教授と言う印象が直ぐに思い浮かぶ、兼業作家さん。
その著者が今は東大の名誉教授となられ、専業作家さんになられた第一弾が本作です。
本格物と書くと、新本格と混同する方もいるかもしれませんが、そこは少し違います。
どう違うのかのは、私がとやかく言うよりも、読まれた方が分かり易い。
で、本作ですが、やはり上手ですね~。
なんというか、玄人好みの伏線の張り方や拾い方があります。
ですから畳み方も、よく言えばスタンダード。悪く言うと形式的なのですが、その形式が悪くない。
しかも各所に散りばめられた伏線が、あまりにもサラッと書かれているので、謎解きの際にもう一度読み返すこと数度(笑) 大変面白うございました。
秋の夜長、良質のミステリは適度に頭を刺激してくれ、アルコールと同じ様に楽しめます。