『父からの手紙』 小杉健治 著/読了

たまには本の話。
読んだのは小杉さんの『父からの手紙』。
小杉さんの最近の作品? は、ミステリーのフォーマットを踏襲しているが、どちらかと言えば謎解きやトリックに重点は無い。大切に描こうとしているのは、「愛情」だと思う。本作品も、そう。
真美子が中学二年生の時、父・新吉は突然、家族を捨て家を出ていってしまう。
その翌年の真美子と弟の信吾の誕生日に、父からの手紙が届くようになる。
そして真奈美が24歳の誕生日を迎え、婚約者との結婚をまじかに控えたときに、事件が起きてしまう。

この作品をコテコテの本格ミステリーとして読むことには、いろいろ難点があるが、親子の情愛劇は十分過ぎるほどに伝わる。
それで良しとするかどうかは、読み手次第。
少なくとも私は嫌いではないが、正直に言えば、『絆』のようなロジックで固めた法廷ミステリの方が、私は好きかも。