空き家が増えているという。
昨年の10月時点で820万戸の空き家があるそうな。
それは現存する住宅の13.5%が、空き家だということになる。
空き家が増えると、単純に言えば街が荒廃する。
空き家を手入れせずにいると建物が荒れ、雑草やゴミ、さらには治安の悪化に繋がる可能性もある。
また人が住まなくなった建物は、人が住んでいる建物よりも傷みやすい。
傷んで脆くなった建物が、災害時により大きな災害を生む可能性もある。
「売却すれば良いじゃないか」という意見もあるだろうが、これがそう単純な話でもない。
一概に言えないが、空き家が多く存在するのは都市部ではなく地方だ。
若者が街を離れ、高齢者ばかりが多く残る地方都市の、それも集落のような地域に空き家が多い。
そんな場所の空き家は、売るにも買い手が無く、貸すにも借り手が無い。
建物を解体するには、数百万もの費用が掛かる場合もある。
仮に解体し、更地にした土地をどうするか?
売却出来ずに土地を持っていた場合、税金は建物が建っている方が低い。
高い費用を払って解体し、高い税金を納めることを希望する人はいないだろう。
空き家の再利用は各地で考えられ活動が始まっているようだが、今以上の意識向上が必要だろう。
ただ問題は、それだけでは解決しないのではないかと思う。
その一つは、安易な供給過多にある気がする。
新築建物のコスト低下が、古い建物を再利用することに歯止めを掛けているのではないだろうか。
新聞の折り込みチラシの中には、「アパートの家賃と同じ金額の支払いで家が買える」という内容の見出しの広告を、多く見かける。その金額の中身の正当性に関しては分からないが、建物はそんな金額では買えないし、たとえ買えたとしても家を何十年も維持していくためには、ローン以外にたくさんの費用が必要だということは知っている。
空き家再利用、空き家再生を考えるのは良いが、人口が減少し、若者が少なくなっている現在、ともすると一過性のブームで終わってしまうような事だけにはならないように、もう少し本質的な部分にも着目し、考えるような必要があるような気がする。
昨年、10年以上空き家となっていた建物を突然相続し、その処分に翻弄させられた経験があるからこそ、よりリアルに感じる問題。