『星を継ぐもの』 ジェイムズ・P・ホーガン著/読了

いつもお世話になっている東京創元社さんが、昨年創業六十周年を迎え
様々なイベントやアンケートを行っているのを見ました。
その中で「あなたが選ぶ東京創元社のベスト1」みたいなアンケートの
総得票数一位だったのが本作『星を継ぐもの』。
これは読み直さねば!――と思い、久しぶりに読んでみました。
この本、本棚にナント3冊もありますが(理由は聞かないで)
やはり面白いものは、いつの時代に読んでも面白いということを痛感しました。
三百頁ほどの本ですが、最後の百頁ぐらいの早いこと早いこと。
そして最後の十頁の爆発力の凄いこと。
さらには最後の1行の美しいこと。
これは読んだ人だけが感じることの出来る世界です。
勿論、最初から丹念に読み込んでこその美しさですから
最後の一行だけ読んでも、何のことだが分からないとは思います。
ストーリーを掻い摘んで書けば、月で赤い宇宙服を着た遺体が発見されます。
最新技術を駆使して調べると、どうやら人間の遺体らしいことが分かるのですが
この遺体、なんと死後五万年は経っていることが判明しました。
さて、この不可解な状況をどう理解すれば良いのか? 
チャーリーの正体は? 私たち人類との接点は? と言った点を
それぞれの専門技術者が、データと推論を積み重ねて議論していくのですが
結論が出ません。そんな時、月の地底深くから新たな発見があるのですが
これはまだ壮大な物語の、ほんの序章にしか過ぎなかったのです。
なんて感じの導入部。
続きが気になる人は読んで下さい。
ちなみに「四十代が選んだベスト1」には、アシモフの『黒後家蜘蛛の会』が
堂々の一位だったので、これも読み返そうと思っています。
あ、念のために補足ですが、『星を継ぐもの』は、SF小説です。
で、その話の流れにミステリである『黒後家蜘蛛の会』の話を書いたのは
著者のアシモフはSF作品が多く、どちらかと言えば、そっちの方が有名だから。
でもミステリ読みにとっては、『黒後家蜘蛛の会』の方が馴染み深い。
SF作品からミステリ作品へと話が飛んだのは、そんな理由。
このアシモフのSF作品で私が読んだことのあると言えば
『ミクロの決死圏』と『鋼鉄都市』ぐらい。
SFに暗いのです(笑)