97年に発刊されて以降、版元で品切れとなり入手困難だった本書が、有隣堂書店限定での復活販売となったので購入してみた。
医者のマーチ博士の家に住み込みで働く家政婦のジニーは、ある日、奥様のクローゼットの中から、一冊の日記を見付ける。日記の主には幼い頃から殺人衝動があり、繰り返し快楽殺人を行ってきたと書かれていた。日記の主はマーチ博士の四人の息子の中の誰かだと考えたジニーは、その日から犯人を推理する過程を、自分も日記に記し始めた――
物語は、ジニーと犯人の日記を、交互に読み進めていく形で進んでいきます。展開には緊張感があり、確かに吸引力は高いのですが……、ゴメンナサイ、個人的には少し長過ぎて飽きてしまいました。物語の中盤から違和感を覚えてしましました。それが自分の気のせいなのか、あるいはミスリードなのかと、楽しめているうちは良いのですが、ある瞬間に決定的になってしまいます。もうそうなると、ミステリとしては退屈に感じてしまいました。
本当を言うと、日記だけで物語が展開されると、ミスリードが何処に隠されているのかが、なんとなく匂ってしまいます。そこそこミステリーを読んでいるもので(笑) そういう勘繰りを入れながら、ミステリを読んではいけないということを、久しぶりに実感しました。
でもセンテンスが日記で区切られており、読みやすいことはこの上ない。それに吸引力も高い。
あとは、落ちが納得できるか出来ないかの問題。
いや、ミステリは、そこが一番大事なのですけどね(笑)
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