桜の開花宣言が、チラホラと聞こえ始めた昨日今日。今年は、おむすびと水筒なんぞをぶら下げて、花見に出掛けようと考えていたのだが、やっぱりなんだかんだと用事が入り始めた。仕事柄、週末や人様が休日の時に予定が入るのは昔から。まぁ、何かと用事があるという事は、「ありがたい」と感謝しなくちゃいけないし、無ければ無いで困りもの。「適当」という加減は、量ではなく、心持で変わる筈。桜は合間を縫って愛でてやろう。
ところで仕事が早いという事は何につけても良いことだが、だからと言っても限度と言うものはある。あまりに早いと、「質は大丈夫かいな?」と疑ってしまうのは、どんな物でもご多分に漏れない。特に物が大きな建築に関しては、「安かろう悪かろう」と、同じぐらいに、「早かろう悪かろう」と思ってしまう。
そんな心配を象徴するかのような話の一つが、東洋ゴムが製造した免震ゴムの性能偽装の話。これ現場の工期に間に合わせるようにとの指示に応えようと、性能が出ていない製品を「性能が出ています」と誤魔化して納品したという話。結果的にその偽装がバレて、ゴム自体の交換や賠償話まででいる始末。
こんなことなら製作時に、「もう少し時間を下さい」と正直に話した方が、会社に与える損失は少なかったんじゃないの? と、思ってしまうのだが、「バレなきゃ良いのよ」と思っていたのか、あるいは組織の歯車の中で、止むに止まれずの愚行だったのか。まっ、どちらにしても、被害は大きいよね。
もう一つは、何の被害も出ていない。が! あんまり早くてビックリした! と言う中国の話。地上57階建て、4000人収容可能なオフィス・スペースと800所帯の住戸を持つ複合ビルの建築工事が、たったの19日間で工事を終えたというのだから、ビックリした! 凄い技術だね、これ。57階建ての高層ビルが、たったの19日間で完成するなら、30坪ぐらいの住宅なら、30分ぐらいで終わるんじゃないの?(笑)
こんな早さで建物が建てられるのなら、日本中の建物を刷新しても、三年ぐらいあれば出来ちゃうんじゃないだろうか。もしくは1882年に着工し、いまだ未完のサグラダ・ファミリア教会なんて、たぶん一年も要らないんじゃなかろうか? などと彼是と計算してみるのだが、まぁ、この建物は特別で、なんでもかんでも超特急という事でもないのでしょうが、だからこそ「この建物の質は大丈夫?」と、少し心配になるのだが、それは大きなお世話なのでしょう。
日本には昔から「急がば回れ」と言う諺もあるぐらいなので、早く作り上げることに血道を上げるよりも、質の向上を目指したいと思うのですよ……個人的にはね。
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