小田原市のすぐ隣…の隣に位置する山北町。名水で知られる丹沢湖や、ハイキングで賑わう丹沢山系を控える町。その昔は東海道線の要所としての役割も持ち、丹那トンネルが開通するまでは、東西を結ぶ主要駅として栄えた町でもある。だがそれも今は昔。地方都市の宿命として、年々人口の減少している。
そんな状況を少しでも改善すべく、空き家の再利用を推進しているのは、どこの地方でも同じことだろう。だが山北町の場合、転入希望者のニーズを的確に捉え、その推進を図るべく、転入希望者のニーズで一軒家を建て、低家賃で貸し出すという試みが実践されている。そんな企画で建てられた家が完成したと言うので、見学に行って来た。
木造二階建ての家は広い庭を持ち、小さな畑ぐらいなら容易に出来る。建物周囲が広いので、日当たりも風通しも良い。
1階茶の間から、和室の6帖間を望む。約30cm上がった和室は、腰掛けるのにちょうど良い高さ。下部には引き出し式の収納もある。
やっぱり畳に障子は、よく似合う。
2階の廊下に設けられたバルコニー。バルコニーに上がるための2段の階段は、腰掛けるのちょうど良い高さ。バルコニーで洗濯物を干す母の傍に居たい子供は、ここに腰掛けて、その様子を眺めるのかもしれない。あるいは冷えたビールを片手に、お月様を見上げる父が居るのかもしれない。
部屋にはロフトが設けられている。子供でなくとも、結構楽しかったりする。
こんな賃貸住宅なら、私も住みたい。家賃の安さも勿論魅力だが、住む人の希望に合わせて造られた家は、その人だけの注文住宅なのだから。ただしこの試みは、残念ながら行政が主体ではない。あくまでも民間レベルの話なので、様々な条件が整わないと、実現が難しい。とは言え、次の建物計画も、既にゆるゆると動きつつあるとのこと。
空室率が高まる住宅事情において、賃貸住宅の空室率の高さは、質の低さに一因があるとも言える。気持ちの良い賃貸住宅、住めば住むほど愛着が湧き、我が家となる賃貸住宅、良いと思うなぁ。