出入り口幅2.0mを考える

新しく始まる住宅計画。坂道の途中にある敷地が、唯一平らな部分に接している幅は約2.0m。既存の建物は、その2.0mの所に門扉を設け、敷地の中へと入る配置となっている。勿論これでも人の出入りだけならば支障はないが、車がある場合にはそうはいかない。そしてこの土地を購入された方は、車を持っている。単純に「車が出入り出来る幅に広げれは良いのでは?」とは、誰もが思う話だが、ことはそう簡単でもない。

道路の敷地に近い側に、幅約1.0mの階段が設けられているのだが、この階段はお年寄りなどに配慮して造られたもので、その形状を変えようとする場合には地域の了解が必要となるらしい。敷地に車を入れるためには、せめてあと1mは間口を広げたい。その為の手順として、まずは地域の了解を得ることが最初の話。そして了解が得られた後に、道路を管理する市に自費工事の申請手続きが必要となるのだ。だから地域との交渉を上手にクリアさせることが、何よりも大事。施主にとって大事なのは勿論だが、工事の際の作業車両にとっても大事なこと。なんせこのままだと工事車両を停める場所さえ無いのだから、既存建物を解体するときだって大変だし、新しい建物を造るときだって大変になる。そんな計画が始まります。

tab.4.jpgちなみに、「道路の中に階段があっても、それでも道路なの? その道路に接しているという事で、家を建てても大丈夫なの?」と、思われた方も居るかもしれない。なんとなくだが、家を建てる際に接していなければならない道路とは、一定の幅が必要だ、と言う程度のイメージを持たれていることでしょう。その上、その道路は車が通れる形状であるべき、と考えていても不思議ではない。でも、そうじゃない。階段形状で車が通れない道路だってあれば、狭くて車が通れない道だってある。勿論、それら全てが「絶対に建物が建てられる道路」と言う事ではないが、「絶対に建たない道路」という事でもない。

人生と同じで、道路にもいろいろあるのです。