リフォーム現場は、粛々と進行中。解体してみると、既存スラブを貫通する鉄骨柱との隙間には、セメント袋を下から押し込み、上からモルタルを充填している箇所が見付かりました。モルタルを充填する際に、こぼれないように下からセメント袋を栓にして詰め込んだのでしょう。こんな施工はダメです。スラブ下にベニヤ等で底板を造り、隙間が出来ないように開口部全体に充填するのが正しい施工です。ただ昔の建物を見ると、稀にこんな光景を見かけるのも事実。今回の工事の中で、これらセメント袋はすべて撤去し、樹脂系の硬化剤を充填して補強します。
「さすがに今は、こんな感じの建物は無いでしょう?」と思っているそこの貴方! 実はそうでもありません。モルタルを充填する底に、紙を詰めるような粗悪な作業はさすがに無いかもしれませんが、似たような考え方の施工なら、木造住宅の現場でも見掛けることがあります。例えば見えなくなってしまうパイプスペースの中に配管を固定する際、床のフローリング材の切れ端を使い、壁内に固定するなんて話は、よくあります。「同じ材木で固定するのに何が悪い?」なんて言われるかもしれませんが、そんな施工を不適切な施工だと思っていないという心根がもうダメ。見えなければ何をしても良いという考え方は、正しくは無いのです。
綺麗に造るという姿勢は、正しく造るに繋がります。そういう事が大事なのです。