「生活保護なめんな」小田原市役所の品格

小田原市の生活保護業務を行う部署の職員が、「生活保護 なめんな」と、書かれた御揃いのジャンパーを作り、それを着て保護対象者の家庭を訪問していたという事実が、市民からの通報で分かった。1stガンダムでギレン・ザビが演説した「あえて言おう、カスである」のセリフまで引用し、不正受給者ばかりでなく、正当な生活保護対象者に対してまで、まるで悪事を働いているかのように感じさせる市役所職員の傲慢さが露呈した恥ずかしい事件。

ジャンパーには、「我々は正義だ」とも書かれているが、そもそも公務員が正義を振りかざす意味とは何だろう? また市役所職員の言う正義とはなんだろう? ジャンパーの着用は生活保護を担当する福祉健康部の部長までもが認識していたそうだが、それだと市民に対する言葉無き恫喝を、市役所が容認していたと言われても仕方がない状況。

そもそも「不正受給」が悪いのは当たり前のことで、インチキな申請があった際に、適切に書類審査・実態調査を行い、正当か否かを判断して対処するのが公務員の務め。騙す奴は悪いが、騙されないように対応し、その上で本当に困窮している市民に手を差し伸べ、自活への助けを成すのが生活保護なのではないだろうか。ジャンパー作ってニヤニヤしている暇があったら、不正受給者に対する正しい指導や検証方法を検討するべきで、対応方法がピント外れなことが、今回の騒動の根本的な原因。

正義という物が本当にあるのか、それは誰にとっての正義なのかは分からないが、その正義とやらが言葉を含めた暴力の先に無いことは、数年前に起きた傷害事件の際に痛感したはずだ。何度も言うが不正受給はダメ。それは誰もが思っていること。それは犯罪だからね。だから不正受給を無くし、ズルする奴を許さない考え方は正しい、そこは間違っていない。でも遣っている事が幼稚です。そのジャンパーを着ると、一体何がどうなるっていうの? 不正受給者の悪党が減るわけでは無いどころか、本当に助けが必要な善良な市民が、「助けて」と言えない雰囲気を作ってしまうことに繋がる。それは目的としているものと反対の結果しか招いていないよね。

行動は愚かだが、志や目的は高い所にあると信じたい。市役所職員の一人一人の行動が、小田原市役所の品格に繋がるのですから、それを忘れないでほしいと思う騒動。