負動産を働産に

近年増えている、相続登記が成されないままの空き家・空き地問題。一戸建ての建物に関する相続問題は勿論だが、近年特に増えているのはマンションの相続だ。老朽化したマンションの場合、相続しても売るに売れず、管理費や税金だけは払い続けなければならないという、なんとも厄介なお荷物になる。そして誰も相続しないまま数年が経つと、今度は相続人が他界し、その子や孫へと法律上の相続人が増えていく。ひとりでも厄介な相続なのに、相続人が増えてしまうと、こりゃ~もう完全にお手上げ状態。そして建て直すことも出来なければ、改修工事をすることにも支障をきたし、マンションの老朽化に拍車を掛けてしまうことになる。

私も数年前に、ひょんなことから相続問題に巻き込まれ、エライ目にあったから相続の辛さはよく分かる。その時の話は、十数年前に亡くなった方の家の固定資産税が未納なので、払って欲しいという連絡が入ったことが始まりだった。全く知らない方が孤独死され、その家の相続人を辿り辿ると、どうやら私の元に辿り着くという。勿論、その方とはお会いしたことも無ければ、話したことも無い。だから「知りませんよ」と言ってしまえば、それで良かったのかもしれないが、その役所の担当者が言うには、「すでに亡くなられてから十数年、相続放棄を宣言できる時間は過ぎているので、何が何でも払って貰わないと強制的に差し押さえるぞ」的な事を、それはそれは優しく仰るわけです。(役所の嫌いなところは、こういう物言いをする輩が居ることが一つなのだが、それはまた別の話)

寝耳に水的かつ追い剥ぎにあっているような気分で、それはそれは不愉快な話が始まるわけだが、結果的には私が諸々を整理して滞納分の税金も支払って、ことを終えた。建物も正式に名義変更をした後に売却したが、室内の整理片付けから始まって、諸々の費用や税金などを支払うと完全に私の持ち出しで赤字だった。それでも整理したのは、遥か遠いとはいえ関係のあったという方の供養になればという想いのみ。

そんな経験があるから、相続話での相談には、ことさら「何とかしてあげたい」と、思ってしまうわけです。現在も相続された土地の有効活用に関して、頭を悩ませている方と御相談をしている最中です。コンサルタント的な関わりと言えばよいのか、あるいはプロデュース? アドバイザー、まっ、呼び方は何でも良いが、とにかく良い活用方法を考えられるように、年末に向けて頑張るところです。

空き家・空き地問題に関しては、まだまだ書きたいことがたくさんあるが、本一冊ぐらい書けてしまうので、それはまた別の機会に細切れに書きましょう。

「不動産」が「負の動産」になり困っているのであれば、「働く財産」になるように、知恵と工夫で対応したいと思います。