家に障子のある風景

年末の大掃除の光景と言えば、なんと言っても障子の張り替えだと思う。室内の障子を外し、庭で水を掛けてゴシゴシと洗い、ご飯粒を水で溶かしたのりを使って、真っ白な障子紙に張り替える。少したわんでいる障子紙を、ピンと張らせるために霧吹きで水を吹き掛けて乾かす。乾いてピンと張った障子紙見ると、「ああもう直ぐ新しい年が来るな」なんて子供心にも思ったものだ。職人さんが障子紙を貼る時には、霧吹きなんて物じゃなくて、口に水を含みブーーーッ!っと吹き掛ける———なんてイメージがあるが、それはあくまでもイメージで、本当はそんなことはしていなかったのかもしれない。などと書いていると、これは昭和の大掃除のイメージだと気付く。

最近の家には、まず障子が無い。だから子供たちが、障子に指で穴を開けることを、一年でただ一度だけ許される楽しいイベントなどは知る由も無い。そんな一般住宅からは絶滅寸前の障子だが、私が設計させていただいた何軒かのお家には、そんな障子を設けた家がある。

障子はカーテンなどよりも、遮熱性や断熱性に優れている。だから窓に結露することも無い。そういう利点を知らずに、現代の家では排除されがちだが、値段の高い高性能サッシを設置するのも良いが、障子を設置することで解決する方法だってある。障子を設けると、カーテンだって要らないのだから、まさに一石二鳥。もっともこういう話は、設計者とキチンと話しが出来るクライアントだけが知る話で、けして素人の思い付きだけでは出来ないこと。障子は捨てがたいのです。

dbox.20181208.1.jpg

この障子を開けると、こんなふうに外と繋がる。

dbox.20181208.2.jpg

写真は D・BOX