『主よ、永遠の休息を』誉田哲也著/読了

ふだんミステリーばかり読んでいるので、人が死ぬ話しには慣れています。あまり気にしないというか、そういう架空の設定だからと理解しているので。でもたまに、読むことが物凄く苦痛な作品に出合うことがあります。本書もそんな作品の中の一つでした。

とある田舎町で、二人の少女の行方が分からなくなった。数時間後に一人の少女は家に帰って来たが、もう一人の少女は近くの山の中で死体で発見される。犯人は近くに住む青年だった。それから十四年後、ネットで「名無し少女 推定六歳 完全無修正」と名付けられた、殺人誘拐事件の犯行ビデオが配信される。共有通信社の記者鶴田は、偶然巻き込まれてしまったコンビニ強盗事件をきっかけに、そのビデオの真偽を追うようになるのだが、そんな鶴田に必要に迫る謎の男がいた。やがて十四年前の忌まわしい事件との繋がりを知る鶴田の前に、不条理な真実が待ち受けていた――

実際に同様の事件があったことを、今でもハッキリと覚えています。犯人の部屋の本棚には児童ポルノビデオや写真集がズラリと並び、並べきれない物が床に積み上げられていました。犯行の残虐性から殺害の詳細などは公開されていませんが、本書では幼女が凌辱されているシーンを克明に描いています。そのシーンはあまりにも残酷で、思わず目をそむけてしまうほど。でもその残虐性を読むことで、犯人に対して強く憤りを覚え、被害者女児の身体と心の傷の痛みを、強く想像することが出来ます。なんとも哀しい小説でした。

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蛇足ですが先日、「いつも本読んでるの? よくそんな時間があるね」と、知人に聞かれました。本を読むことは私にとって趣では無く、ただの習慣なので、本を読むために何かを犠牲にしたり、何かを我慢している訳ではありません。ご飯を食べたり、酒を呑むのと同じことなのです。子供の頃から気が付けば本を読んでいたのですが、それが今も変わらないだけなんです。だから時間の問題ではないのかもしれませんね。クリスマスでも大晦日でも、きっと気が向けば本を読んでいるかもしれませんね。