フランスのミステリ作家ギヨーム・ミュッソの作品。
結婚式を三週間後に控えた人気ミステリ作家のラファエルは、一人息子テオの面倒を友人の元組織犯罪取締班の敏腕刑事マルクに任せ、婚約者のアンナと南フランスの旅行を楽しんでいた。結婚を目前に控えながらも、自分の過去を話そうとしないアンナに対して、ラファエルは話すように強く迫ってしまう。頑なに口を閉ざし続けていたアンナだったが、仕方なく「これは私がしたことなの」と言い、一枚の写真を彼に見せる。そこには真っ黒に焼け焦げた、三人の死体が写っていたのだ。
ショックを受けたラファエルはアンナを残し、一人パリの家に戻っていく。だが彼女を残してきたことを後悔し、彼女の住むアパートに行くが、そこには旅行鞄だけが残され、彼女の姿は何処にもなかった。アンナは消えてしまったのだ。彼女が隠したかった過去とはいったい何なのか? 消えた彼女は一体どこに行ってしまったのか? ラファエルの追跡が始まる――
帯に「フランスのベストセラー・ミステリー」と書かれていましたが、いやー凄かったです。物語のひっくり返し方が半端じゃない! こっちの方向に進んでいた話が、突然違う方向に曲がり、驚く間もなくまた違う方向に曲がります。そんなふうに何度か振り回された挙句に終幕するのですが、なんだこの読後感? もうお腹一杯です。とにかく密度が高いです。この一冊で三冊ぐらいの本を読んだ感じになりました。プロットだけでも、相当の分量があったのではないかと思うほどの濃さですので、ドッシリとした重たい感じの本がお好きな方向けの作品だと思います。フランスミステリをまだ読んだことが無いという方にも、お薦めの一冊。ただし何度も言いますが、読後が重いのでご用心を。