心理的瑕疵物件に対する告知指針策定

過去に自殺や事故死等で死者が出たことのある、いわゆる「事故物件」と呼ばれる建物に関する話。賃貸住宅において自殺や事故、自然死や事件による死亡事故があった際に、それらの状況を次の入居者に告知するか否かは、今現在は不動産会社の裁量に任されている。つまり心理的瑕疵の告知に関しては、「黙っていればわからない」的な感覚が今も残っており、それが後々トラブルの原因になっていることを重く受け止めた国交省が、ようやく明確なガイドラインを策定することになったそうな。

これは社会的な問題も背景にあると見るのですが、本当のところはどうでしょう。高齢化が進み、かつ核家族化が進んだ現代、老人の孤独死が増えており、それが持ち家の一軒家あるいは賃貸住宅の違いこそあれ、都会・田舎に関わらず問題になっているのだと思います。さらに言えば今は、家がダブついている供給過多の状態。だから借りて貰えるならば、少しでも高い家賃で借りて欲しい。ついては敬遠される心理的瑕疵の告知は、出来るだけしたくない―と、いうことなのでしょう。

そんな私も心理的瑕疵のある建物と、少しだけ関わったことがあります。もうだいぶ前の話しですが、一人暮らしの家人が病死した家の売却に携わりました。その建物は遠方だったため、簡単に行き来できるわけでも無く、家の取り扱いあるいは処分に関して最良の方法を検討することも出来ず、ただ心理的瑕疵のある建物の売却として対応することしか出来ませんでした。後年、もっと何か有効活用方法があったのではないかと後悔しましたが、当時は頭が回りませんでした。賃貸住宅ではありませんが、心理的瑕疵物件は傷や汚れなどの目で見て分かる物理的瑕疵物件とは違い、所有者もそれなりのリスクを背負うのです。

国交省のガイドラインに、所有者(貸主)や入居者(借主)の精神的・経済的な負担まで考慮して、基準を決めることは難しいとは思いますが、両者ともに分かりやすく明確な基準の策定であることを期待します。