空き家率と言う視点で考える

コロナウィルスの影響で、出歩く人の数が減っているようですね。密閉した空間や人の多い場所は、とくに避けられているようで、売り上げに影響が出ている店舗が、かなりあると思います。そんななか昨日の15日は、直ぐお隣の湯河原町の町会議員選挙の投票日でした。知り合いが出馬している訳でも無いので、あまり興味は無かったのですが、投票率が過去最低の53.93%だったと今朝知りました。投票率が低かった原因の一つには、間違いなくコロナウィルスへの心配があったと思います。湯河原町と言えば、温泉場としての観光地なので、このコロナウィルスでの自粛ムードは経済的にもダメージが多いと思います。きっと選挙スローガンにも「これからの町づくりが!」とか「観光地湯河原温泉としての誘客が!」なんてことを、公約に掲げる人が多かったのかもしれませんね。

そんな湯河原町を建築的な視点で見ると、神奈川県の中で一番危ない町だと言える一面を持っています。それは空き家率の問題です。湯河原町の空き家数は5600戸ですが、率で言うと33.4%という群を抜いて高い数値となっています。確かに空家数で言えば横浜市の空き家は桁が二桁ほど高いのですが、率で言えば9.7%と低い数値となります。小田原市の方が14.4%の空き家率なので、よほど高い数値と言えるぐらいです。それをはるかに超える湯河原町の空き家率は、かなり危険な数値だと思います。ちなみに二番目に高いのは中井町をはじめとした、6つの町や村を合算した場所ですが、この数値は個別データに寄らないため、あまり参考にはならないと思います。三番目が三浦市の21.9%で、空家数は4900戸となっています。

話が反れましたが、観光地として人が訪れるようになるためには、それを受け入れる施設や店舗等が必要となり、当然そこで働く人の数が増えていかなければなりません。では湯河原町はこれからどうするのでしょう? 新たに選ばれた14人の町会議員さんの、腕の見せ所と言う気がします。どう街を活性化させていくのかを、期待を込めて楽しみにしています。

ちなみに選挙があったので、たまたま湯河原町のことを書きましたが、熱海でも小田原でも箱根でも同じことで、地方都市の過疎化は深刻な問題となっています。人が居なくなれば、当然空き家が増え、空き家の増加と共に行政サービスの質の低下が付いて回ります。それがさらに人口流失に拍車をかけると言う、負のスパイラルに繋がります。インバウンドを大切にした観光立国日本を目指すことは良いのですが、それを無理なく受け入れることのできる環境が必要だと思っています。まだまだ使える建物が使われなくなり、ただただ朽ちていくだけと言う光景は見たくないのです。

※数値データは総務省平成30年住宅・土地統計調査◆神奈川県の市町村別空家数と空き家率データから