住設機器メーカーの「LIXIL」が、1200人規模の希望退職者を募集するというニュースを見た。大手住設メーカーの大規模な退職者の募集は初めてじゃないかな? コロナ禍の影響だと思うが、2019年の「日本に納税するのは嫌だから本社をシンガホールに移す」発言から、LIXILには少し違和感を覚えていた。勿論、詳細を知らないので、はたして本当にその趣旨の発言をしたのかは不明だが、それでもそう聞けばやはり良い気はしない。
LIXILと言えば前身はINAX、その前は「伊奈製陶」で、TOTO(東陶)と国内設備機器のシェアを二分していた時代がある。昔のイメージで言えば、便器には必ず「ina」か「toto」と書いてあった。それがいつの間にかLIXILと名前を変え、カタログをはじめとしたすべてのロゴが「LIXIL」へと変わっていた。そこに「日本には納税しない」発言だったから、心証としては良くなかった。
個人的には、あくまでも個人的な印象だが、低価格のINAX、高品質のTOTOというイメージがある。だからコストに余裕があればTOTOを選び、予算が厳しい時にはINAX=LIXILを選択している。つまりINAX=低価格のイメージがあります。経営が大変だったから、LIXILグループとしてTOSTEMをはじめ諸外国の有名な衛生機器ブランドや、国内の住宅メーカーとグループ化して営業展開していたと考えていた。片やTOTOはグループ化と言ったチームで売るような戦略は取らず単独で戦っている。
その経営戦略の違いを見た上で、ここにきての大規模な退職者希望の募集だ。設計者として衛生機器類を選定する際に、これから先、良くも悪くもいろいろと考えてしまうのは仕方ない話ではないだろうか。今後、注目したい話です。