確認申請にも脱ハンコの流れ

設計事務所の業務の中で、もっとも事務的で面倒な作業の一つに確認申請業務があります。基本的には行政(検査機関)に提出する正本と申請者の控用の副本。それに消防署に提出する消防用と、計三部の申請書類が必要となります。また申請地の行政庁が特定行政庁でない場合には、別にもう一部必要になる時があるので、そうなると計四部が必要となるわけです。

私の場合、検査機関に提出したものと同じものを予備として作り、申請書類に加筆訂正事項がある場合には予備に記載し、後日、正しく原図を訂正するチェック用として利用しているので、実際には五部の申請書類を作成することになります。

確認申請と言う手続き自体は、設計作業の中での思い違いや間違った記載、またあきらかな判断間違いを是正する大事な作業であり、都市の中で何処にどのような建物が建ち、あるいは解体されて無くなったのかを知るための認可手続きですから大切なことは勿論承知しています。またその作業を行う建築行政に携わる方にも敬意は払います。最近は民間検査機関が増えたせいもあり、行政の対応も昔と比べれば段違いに良くなっていますしね。

とは言っても、申請書類を作成するのに手間が掛かることは確かです。とくに申請図面の全てに設計者の記名捺印が必要なので、大きな建物の場合には添付する図面も増え、その一枚一枚に押印することは、ホントに手間なのです。誰かが書類作りをしてくれる場合は良いですが、私のように何もかも自分でやらなければならない者にとっては、面倒なことこの上ありません。

それが菅内閣の推進する「脱ハンコ」の改正案により、早ければ年明けにも施行されるかもしれないというから、これは嬉しいお話です。申請書類に添付する図面の全てに押印する必要があったのですが、それが記名だけで良いということになれば、格段に手間が減りますからね。印鑑自体が不要になるのではなく、押す箇所が減るだけの話なので、印鑑屋さんに迷惑が掛かる話でもありません。上手く成立すると良いのですが。