不可思議な密室で起きた謎の変死事件を扱った中編二編が収録されています。
アルコ―ル中毒患者が入院する閉鎖病棟内で、アルコールが一滴もない筈なのに泥酔を繰り返すミステリ作家。千人以上の観客が見守るキックボクシングのチャンピオン戦で、勝利の瞬間に死亡した王者の謎。
神話のワインの神、アルコールの神として知られるバッカスの「酒」と、雷神として名高い神トールの持つ「雷(いかづち)ハンマー」に、なぞらえた二つの謎に天才女医・天久鷹央が不可能犯罪に挑みます。
作者の知念氏は現役のお医者さんなので、専門知識を駆使した本格医療ミステリなのですが、難しい用語や状況を分かりやすく書かれているので読みやすく、大切な「謎解きの部分」に対して集中して読むことが出来ます。天久鷹央シリーズの最新巻。医療系ミステリがお好きな方にはお薦めの一冊。