あの頃、私も勇者でした。
パスワードを正しく入力できずに何度も泣かされましたが、それでもまた新たに冒険の書を作っては旅立ちました。まだ友は元気で、冒険の進み具合やアイテムの探し方を一晩中話しました。いろいろな夢や希望を抱えながらも、日々挫折し、途方に暮れた夜でも勇者になりました。ネズミが走り回る古いアパートの一室から、世界へと冒険の旅に出たのは、いつも背中を押してくれる序曲があったからです。あれから長い長い時間が経ちました。今では冒険に旅立つことも、勇者になることさえありませんが、それでもあの序曲や数々の音楽を耳にすれば、遠い過去へと思いを馳せることが出来ます。楽しかった日々に感謝しています。
すぎやまこういち氏のご冥福を、心からお祈りいたします。